加齢なる乙女

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電車の中、向かいの席に座るは80代くらいのおばあちゃま。知らない人を婆さん呼ばわりしたくないけれど、まぁ、可愛らしい人だったので、あえて、おばあちゃまと呼ばせていたただきましょう。

 

その人の恰好がね、いいのよ、婆さんらしくないの。

黒のベレー帽、ベレー帽からのぞく頭髪は白? もしくはグレー。

服はといえばグレーのコットンの V ネックのカーディガン。

カーディガンの下は白いブラウスだか何だか? で、黒のズボン。

またこの歳では珍しいコットンの白無地ソックスによく磨かれた黒革の靴。

で、手には文庫本(もちろん眼鏡かけて読んでおられましたが)。

 

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そのお歳で、黒、グレー、白だけでまとめるなんて、ちょっと驚き、でも全然陰気くさくなく、色にも負けていないの。

 

いかにも乙女的雰囲気、文学少女がそのまま80代になっちゃった、そんな感じ。

今どき「乙女」なんて死語か冗談でしか使わないだろうけど、年齢的に乙女と呼ぶには最もふさわしくない人が乙女的とはおかしなものだけど、この人にはふさわしい、で微笑ましい。

 

余計なことを言えば、可愛らしい人と言っても、顔そのものは可愛らしい顔ではなかった、けれど、全体の雰囲気が乙女的だからか可愛らしく見えたのかしらね。

すね毛の半ズボンおやじを見るより、ずーといいわね。

 

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