家の外観とその住人

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駅に向かう途中に長いこと空き家になっていた古い家がある。その家に今年の春ごろ越してきた人がいた。

よかった、よかった、空き家は物騒だ、家も荒れる、景観も悪くなる、だから賃貸であれ買い取りであれ、とにかく住む人があってよかったと思った。

新しい住人は新品と思える洗濯機を庭に置き、本来家の中で使うものも外に置いている。まぁ、どこに置こうとそれは個人の自由だからいいのだけれど……ちょっと変わった人? 

家族構成も全く分からない、住人の顔も見たことがない、洗濯物が干してあるのを見たことがあるようなないような。

引っ越してきた当初は小さな子供がいるような感じがしたような……? 1人暮らしではないような……でも、今は人の気配もしないような……。まぁ、どうでもいいか、よそはよそ、よそ様のことは大きなお世話だ。

 

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やがて春が過ぎ夏が来て庭には雑草が伸び放題に伸びていた。ある朝その家の前を通ると雑草は見事に枯れ、庭は茶一色になっていた。いくら雑草とはいえ、なんだかむごい感じがした。よほど強い除草剤を使ったのだろう。

「雑草という草はありません。みんな名前があるんです」昔、テレビか何かで植物学者が言っていたことを思い出した。

今でも枯れて倒れた茶色の雑草が庭を埋め尽くしている。それはこの先も取り除かれることはないだろう。

連休前の庭にはカラになった焼酎の大きなペットボトルが転がっていた。荒れた庭に投げ捨てられた焼酎のペットボトル。

連休明けの今日の庭といえばペットボトルだけでなく小物が2つ3つ増えていた。

他人の家ながら、これでは家が庭が可哀そう。住人だって越してきた当初は新天地で心新たに新生活を始めよう、と思っていたはずではないのだろうか。それが僅か数か月でこんなことになるなんて。

何があったのか知らないけれど、荒れた庭を見るたびに住人の心も荒んでいるように思えてならない、せめてゴミ屋敷にならないことを願う。

どんなに小さくても手入れの行き届いた庭を見るのは気持ちがいい、心が和む。その家に住む人の人柄がしのばれるような気がする。

では、そう言う我が家の庭はどうでしょうか? 見ないでほしい! 見るな! で、ございます。

 

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