「測定不可能」 安物だって役に立っているんです

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仕事帰りに眼鏡売り場をのぞく。リーズナブルな価格で全国展開している眼鏡屋さんだ。値段が手頃だといっても妥協はしない、先ずはデザインだ。どれも今一つではあるが贅沢も言えない、で、そこそこ気に入ったものを選び鏡の前で試着してみるが、

……見えないよー。

当たり前だ、度が(老眼)入っていないのだもの。これでは試着の意味がないではないか、うーん、まっ、いいか、必要に迫られているわけでなし、で、購入なし。

リーズナブルどころか安物でもいいの、目元のクマ隠し、シワ隠し、老化隠しが重要なの。だからデザインとかけ心地が命なの。

 

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で、思い出した。9月に「モノモライ」で眼医者さんに行ったことは書いたと思うけど、診察の前に通された部屋は検査室? そこで言われるままに座ると、今度はメガネをはずせと言う。言われるままにメガネをはずし机の上に置くと、すぐさまどこからか女の人が現れて、あっという間に私のメガネを持ち去るではないか。

(ちょっとー、何するのよ、どこ持って行くのよ)……どうやら、眼鏡の度数を調べてくれるらしい、が(大きなお世話である)。

私は「モノモライ」を診てもらうためにここに来たのだ。好きでかけている私のメガネのことはほっといてもらいたい。(……ひょっとして、メガネ作らされる? なんてことには、ならないよね……) 

それから、それから、検査検査でやっと診察室へ。

若い滑舌のいい女医さんは「モノモライ」の診察を終えると、先ほどの検査結果を伝えてくれた。

視力も白内障も緑内障も問題ない、と、そこまではよかったが、私のメガネに問題あり? メガネの度数は、「測定不可能」だった、と言う。

そりゃ、そうだ、ほとんど伊達だもの、伊達メガネだもの。でもね、素通しじゃないんです、「度」はちゃんと入っているんです、「老眼のド」が。

だから、ある、と、ない、では全然違うんです。私にとって、このメガネは伊達と実用を兼ねる大事なお気に入りの1本なんです。

でも、でも、安物、安物ゆえに測定不可能、だったらしい、多分。

可哀そうなメガネ、測定不可能だなんて、でも、私は見捨てないよ、測定不可能だって、ちゃんと役に立っているよ。

 

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