気分が沈めば顔の肉も下がるから

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晩秋の夕暮れ、人生の秋、沈みこむような気分に陥っても、いっそのこと冬になっちゃえばいいのだわね、真冬に。あっという間に陽は沈み真っ暗、寒い、寒い、寒すぎて感傷に浸ってなんかいられない、ああ、早く帰ろう。

で、ピシャリと戸を閉めて炬燵に入って温かいもの美味しいものを食べて春を待つ。で、待ちに待った春がやって来る、すると、また一つ歳をとる、で、やだー、となって、はぁ~ぁ、となる。

体の肉、顔の肉、全てが弛緩して下へと下へと向かっているのに、気分まで下がって浮かない顔してどうする。

おばさんがそんな「憂鬱」そうな顔をしていると、ますます「婆顔」に近ずくのじゃ。

若い美人の「憂い顔」なら絵になるけれど、おばさんには「憂い」という言葉自体が似合わないのじゃ。と、鏡が言う。

 

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故・田辺聖子さんが言っている。

「気を取り直す」ことは大切な才能、シビアな問題を抱えていても、お洒落や美味しいもので一瞬でも気持ちを上向きにし、能天気に見えても、自分の感情を決して他人に預けない強さ、これが大事である。とかなんとか。

一瞬でも数時間でも今日だけでもいいわ、気分が少しでも上がれば……今、私は甘いものが飲みたい、食べたい。で、コンボニへ走り甘いカフェオレとアンドーナツを買い、昼食後におやつとして食べた。

血糖値が上がり気分も上がるかと思ったら、ちょっと気持ち悪くなった、胃が少し痛くなった、食べなきゃよかった、で、気分は上がらなかった、で、夜は食欲が失せた。

 

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