なんて可愛いの! なんて綺麗なの! なんて似合わないの!

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<チョコより生ビー。ですよね>

お、お、おばちゃまね、今週ね、殿方からチョコレートいただいちゃったのよ。綺麗な箱に入ったお洒落なオシャレなトリュフチョコよ。見ているだけで乙女チックが満開よ、ふふ。

……しかしね、チョコはともかくとして、この箱が袋が、可愛すぎて綺麗すぎてオババにゃあまりにも不釣り合い、完全ミスマッチだわよ。

と、オババの中のもうひとりのオババがそう言うの。オババは素直に同意して、また、同僚の手前もある、ということでそれをまたほかの袋に入れて持ち帰ることにしたわけよ。

なんて気のまわるオババかしら、年寄りはこうでなきゃ。でもね、それは無駄な気遣い考え過ぎ、このチョコには、なーーーんの意味もないの、あったりまえだけど。

ただ、「余ったから」オババに回ってきた、そういうことよ。

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「あまりもの」……なんの? ホワイトデーの? 知らん、どうでもええわ、そんなこと、オババのあっしには関係ないことでござんす。

それで思い出したんだけど、以前、若女子がオババに訊くのよ、バレンタインデーには職場の男性に何かプレゼントを用意するのか? と。

そんなこと、思いつきも考えも用意も、まるで、当然、 n o t h i n g とオババが応えると、「えー、でも贈ったら喜ぶんじゃないですか?」と若女子が言うわけよ。

そりゃあね、確かにね、喜んでいただけるかしら、こんな年寄りからでも。でも、喜んでくれなくていいのよ、なんで喜んでもらわにゃいかのよ、喜ばせてどうすんのよ。

えー、でも……分かるわよ、若女子アンタの考えることは。でも、もう、いいのよ、そんなもん、職場では気配り心配りバリバリのババアなのよ。だから、もうこれ以上、職場に余計なものを持ち込むことはないのでござる。

それでもね、毎年2月14日が近づくと街はチョコでいっぱいになるでしょ、それをね、あちこち見て回るのは楽しい。で、思うわけ、贈りたい人がいたらもっと楽しいだろうな、って。

でも、次の瞬間、ああ、メンドクサとなってね、あたしゃ、贈るより、贈られる方が、断然、好きなんだ、性に合ってる、って再認識するわけよ。

勝手にほざいてろ、だけどね、でも、もう今じゃ贈るも贈られるも他人事よ、自分へは自分で買うしかないのよ、……つまんないの。で、どうせ買うならポイントは? なんてセコイこと考えちゃってね。

しかし、歳はとってもカワイイ、キレイなものが好きは変わらないわね。でも、どんなに好きでも、キレイ、カワイイはアンタを好いちゃくれないのよ。

だから、せめて嫌われないよう、ちょっと努力しているオババでもあるのよ。無駄な努力? オババは絶対そうは思わない、エイエイオー。

 

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