アナタは、人の好き嫌いがハッキリしている方ですか?
ワタシ? そうですね、はっきりしている方だと思います。また人の好き嫌いは一目会った時、第一印象でほとんど決まります、それはこの歳になってもそう変わりありません。
若い頃はこの好き嫌いが非常にハッキリクッキリしていました。その好き嫌いが後に大きく変わることは、まぁ、ほとんどなかったように思います。
ところが1人いたんです。その彼女とは仕事を通じて約20年の知り合いでもありました。
出会った頃はお互い、というかワタシは彼女のことがどうにも、なーんか好きになれない、好きか嫌いか? と訊かれれば、まぁ、嫌いでした。
彼女もきっとそうだったと思います。そういうことはお互い口に出さなくても何となくわかるものです。ですから話したこともほとんどありません。
ところが人生はわからないものです。
出会った頃から10年ほど経った頃、ひょんなことから仕事のことで彼女と話す機会が増え、それとともに親しさも増し、彼女への印象が大きく変わっていったのです。
なーんだ、いい人だ、彼女のことを誤解していた。第一印象なんて当てにならない、ワタシは彼女のどこを見ていたのか? 見る目がなかった、と。
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そんなある日、彼女に引越しの相談をすると、「ここに行ってみたら」と一軒の不動産屋さんを紹介してくれました。
彼女の親切に感謝しつつ、早速、紹介された不動産屋を訪ねてみると……。
まぁ、驚き桃の木山椒の木、この感じの悪さ、不愉快さ、どうなってんの? どういうこと? 早々に店を出たワタシでしたが、どうにも合点がいきません。
イヤな思いをした、時間を無駄をした、交通費も使った。感じの悪い不動産屋もわけがわかりませんが、なぜ、よりによって彼女は、あんなところをワタシに紹介したのか?
で、後日、彼女と会いました。すると彼女の方から、
「どうだった、あの不動産屋」と訊くではありませんか。
すごーく、感じ悪かったと答えますと、
彼女 「そうでしょ、そうなのよ、感じ悪いでしょ、私の時もそうだったの」と微笑んでおります。
……呆れて言葉もありません、理解に苦しみます。
感じが悪い不動産屋に、かって自分も嫌な思いさせられた、だから、それをワタシにも体験させてあげよう、あの時の不愉快さを共有したい、とでも思ったのでしょうか。
で、思いました、やはり第一印象は当たっていた、ワタシは見る目があった。20年前、彼女を見たとき思ったことは当たっていた、思ったとおり、イヤな女だった。
その日以来、彼女とは会っておりません。あれから何十年経ったやら、今頃どこでどうしているのでしょうか? ワタシを思い出してくれること、あるのでしょうか?
彼女もまた、ワタシのことを思い出すたび、「嫌な女だった」かもしれません。
あの不動産屋、あの日から間もなくして看板を下ろしたようです。
雪だかみぞれだかが降っちゃって、オババは炬燵で丸くなる。しかし炬燵もあと何年使えるのか? 炬燵の心配でなく、問題はこの加齢体。足腰、不自由になると、炬燵から立ちあがる、座る、キビシイものがあります。
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