大きく曲がった腰で畑仕事をしていた婆ちゃんを、このところ全く見かけなくなった。婆ちゃんが野菜を育てていた辺りの小さな土地は今、草がボーボーだ。
確か、数か月前には雑草はきれいに抜かれていた。さすが婆ちゃん、きれいにしていると感心したものだ。
しかし、今のこの荒れようはどうしたことか?
あの婆ちゃんに限ってこんなに草ボーボーでほったらかしにするはずがない。
これはきっとあの婆ちゃんの身に良からぬことが、何たって歳が歳だ、どうしても、そう考えてしまう。
付き合いもなければ、普段は忘れている婆ちゃんだけれど、その畑の前を通るたびに思いだす。
けれど今その婆ちゃんの影がプツリと消えてしまった。
気にしだすと尚更のこと気になって心配になる。
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でも、この婆ちゃんは実の息子さんと暮らしているから、何かあったとしても、その点は安心だ。
でも、あのジイサンはひとり暮らし、ジイサンのひとり暮らしは何だか哀愁が漂う。
ましてや病気になったりしたらさぞかし心細いことだろう。
ひとりで今頃どうしているのだろうか?
具合が相当悪そうだったので入院したのかな? それとも施設へ入所か?
どちらにしても見舞い客や訪ねてくれる人はいるのだろうか?
ヒトのこと心配してる場合じゃありませんけどね。
私もこの歳になりまして、なんかね、ちょっとね、年寄りゆえの寂しさというか孤独感というか、そんなものをちょっとずつ感じるようになりましてね。
しかし、それもこの脚のことがあってからですね。脚が何ともなければ、いまだにバリバリ、こりない生意気ババアここにあり、そんな感じだったと思いますが。
病気をしたり身体が不自由になると心まで弱っちくなっちいちーの。
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