「結婚しなくて本当に良かった、今、つくづくそう思うわ」
夕飯を終え、デザート? のお菓子を食べていると、姉が、そう言うのです。
何の話からそんなことを言いだしたのか忘れましたが、そう何度も言うわけです。
「だって若かったら、絶対、(相手を)見る目なかったと思うもの」
見る目ね、まぁ、若いからね、それはあるわよね、親の反対も押し切ってね。
でもさ、相手を見る目がない、そう言うけど、それはアンタだけじゃないわよ。
アンタと一緒になった相手のセリフでもあるわよ、絶対(その人が気の毒だわ)。
あーあ、こんなはずじゃなかった。あーあ、こんな女と一緒になって、あーあ、見る目がなかった、可哀想なオレ。今までの時間と金返せ、この詐欺女。
そう思わない?
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「うーん、そうね、それもあるわね……」
そうよ、絶対そうよ、そんな犠牲者ださなくてよかったじゃない。
でも、それより何より、どうしても想像できなくてですね、姉が主婦してる姿を。
考えるとなんだか可笑しくて……でも、それは自分のことでもあるのである、かしら?
「〇〇さんと一緒になって私は本当に幸せでした。〇〇さんと結婚して本当に良かったと思いました」
〇〇は亡くなりましたが、その妻が、そう言うのです。
それは、よかった、よかった、そう言えるなんて、なにより、なにより。
永遠にそんなセリフと縁のないこの老姉妹は、そうでしょ、そうでしょ、そりゃそうよ。で、ピーチクパーチク、こういう時、この姉妹は話が合い、そして、その結婚話を熱く語るのでした。
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