「老夫婦」仲良きことは…

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仲良きことは…

南瓜や茄子の野菜が描かれた色紙に、

“ 仲良きことは美しき哉 ” 実篤

昭和時代には、よく目にしたものでした。

 

家の中に、「お宝」は眠ってないけれど、ここ掘れワンワン「大昔」は眠っている。世間はそれを「ゴミ」と呼ぶのだろうけど……。

今や古い生き物となった私も社会から「生ゴミ」と言われぬよう扱われぬよう、少しは……どうすればいいのでしょう。

そんな年寄りでも、暑さに負けず脚の痛みにもめげずくじけず、図書館で借りた7冊の本を抱え、次はスーパーへと向かいます。

この老体にこの脚に、この暑さがこの本の重さが堪えます。

はぁ~、疲れた。スーパーに着いたら、ちょっと休憩しましょ、座りましょ。

隣のテーブルでは、夫婦らしき老カップルが(70代後半くらいか)向かい合ってパンを食べています。

興味はないけど、だけれど、この夫妻が視界に入る、そして耳にも。

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老夫婦、今や会話も無く、ひたすらパンを咀嚼ムシャムシャと。

そして夫が食べているサンドウィッチが残り2口ほどになった時、

「食べるか?」と、

夫の食べかけ歯型つき、原型を留めぬサンドウィッチを、妻に差し出したのでした。

(食べるわけないじゃん)そう思った私は知らぬふり見ぬふりしながらも耳ダンボ、次の展開を待ちます。

するとその老妻、夫の差し出したその「ブツ」を当然のごとく受け取り、今度は自分の食べかけ菓子パンを夫に差し出したではありませんか。

互いの齧りかけパンを交換した老夫・老妻は、また何事もなかったかのように、黙々と咀嚼し始めたのでした。

……年寄り、黙、黙、ちょっとショック、何と申しましょうか。

言わなくていい、余計なこと言うんじゃない、黙れ。

アンタに言いたい、沈黙は金。

はい、はい、まぁ、そうですね。仲良きことは、美しいかどうかは置いといて、よろしいじゃありませんか。

そして、ふと、考えましたね。これが私たち老姉妹ならどうでしょうか。

即答、問答無用、はい、あり得ません。

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