今日も雨。部屋暗く涼しく昼寝日和。 寝れば命の泉湧く。 昼寝が今のこの年寄りの元気の源?
「 子供より親が大事、と思いたい 」 太宰治 『 桜桃 』
そう思います。アタシタチも。しかしね、そうは思っても……それが親なのじゃった。
で、昨日の母とは違う、別の母。
その母は、かっては6人住まいだった、だだっ広い家に、今はたったひとりで暮らしている。敷地内には人に貸しているボロ家もある。
娘が外国人と2度結婚。娘は1度目の結婚から今日まで海外に住んでいる。
他の子供たちもこの家に戻る気は全くないようだ。
母も歳をとり、あっちが痛い、こっちが痛い。そんな身体では住まいの掃除も大変だし、昔の建物は使い勝手も悪い。貸家の管理も面倒くさい。
だったら、もう、ここを処分して引っ越したらどうよ? 現金に換えたらどうよ?
ここが気に入っているのは知っている。しかし、今が最後のチャンスでないの?
身体が動かなくなってからでは遅いでしょ。
しかーし、母は首を縦に振らない。のらりくらりなんやかんやと理由にもならない理由を並べ立てる。
で、ある時、その理由が分かりました。
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それは、
いつか娘が帰ってくるかもしれない。
その時に帰る家がなかったら……。
そういうことでありました。
「親は有難いよね」昔、そう言っていたオヤジのことを思いだしましたよ。
本当だわね。
親になったことないけれど、孝行したい時に親はなし、の私だけれど、今ならこの歳なら分かりますよ。“ 亀の甲より年の劫 ” ですかしらね。
で、その娘、夫と一緒に実家に帰ってくれば何ヶ月も居座って、掃除・洗濯・料理まるでせず、全ては年老いた母任せ。
おまけに、母は、その娘夫婦を食事や旅行にまで連れて行き、勿論、支払いは全て老母の財布から。
「ごっつあんです」
うーん……ですわよ。
でも、その娘も、きっといつか親の有難さをしみじみ思いだす日があるでしょう。私みたいに。
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