ある母が激しく怒っております。
その息子は北欧のある国の女性と結婚し、そちらに住まいを移し、子も生まれた。
そして時は流れ流れて、はい、今回、離別となりました。
やはりね……アタシタチはずーとずーと前から、こうなること分かっていたわよ、結婚した時からね。意外や意外、予想より長くもって、そっちの方が驚きだわよ。
正式に離婚したのかどうかは知らないが、離婚率の高い国ですから、どうってことない。出会いがあれば別離もある、妻の両親も離婚している。
息子夫婦の問題は、親とて分からん。
別れたっていいじゃないか、怒ることないじゃないか、それも人生だ。
そうなんです。その母は息子夫婦が別れたことに怒っているのではない。また息子を追い出した北欧妻に怒っているわけでもない。
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今やそれなりに気儘で気楽なひとり暮らしにすっかり慣れた70代の母。
そこへ息子が帰宅。
久しぶりの日本、ゆっくりすればいいわ、何たって実家なんですから。
が、息子は、一時帰宅のつもりでなく……ここで暮らす? いつまで? 知らん? わからん?
こうして終わりの見えない、息子の実家での、飯・風呂・寝る、生活が始まったのだった。
しかーし、ゆっくりするのもいい加減にしろ。アンタのせいで年老いた母は、朝からてんてこ舞いじゃないか。
ひとり暮らしに慣れた母は、どうやらこれに怒り狂っているらしい。
すんごいんですから、その怒り方が、尋常じゃないんですから、唖然茫然ですわよ。
それだけ素直に感情爆発できるなんて、感心、感心? 驚き? 呆れ? ちょっとー、大丈夫ですか? 老体に障りますよ。
だったら、追い出せばいいじゃん。子とは言ったって、もう中年のオッサンでしょ。
それができたら悩みはしない、怒りもない。愛あればこそ、こうして、うーん……。
大変だね。息子がいて、何かあったとき、頼りになって、いいね、羨ましい。そう思った時もあるけれど、まぁ、いればいたで、いなければいないで、色々あります。
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