寒い。
加齢とともに寒さが沁みる、骨にまで。
そして心にも。
財布もそうだな。
せめて、温かいものでも食べて、暖かい部屋着でも買ってみるか。
部屋着と言ったって、年寄りが着ると言ったって、それをスーパーで探すと言ったって、ちょっとだけ、「お洒落」を求めてもいいかしら?
それは無理、高望みというもの。
金も出さずに、口だけは、
要求だけは、出し過ぎだっていうの、
アンタラは。
はい、はい、わかってますわよ、わかってますってば。
と、またブツブツ言いながら、売り場を歩いてますと、
「あら、何これ、どうしたの?」
ニット? コート風? 羽織物? そんなお召し物が色違いで4着分、ハンガーから外され、姿見のそばの服の上にドサッと乗っかっているではありませんか。
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きっと、鏡の前で羽織ってみたのでしょう。
あらー、ステキだと思ったのに……。
あらー、ぜーんぜん、似合わんわ、面白くない、不愉快じゃ。
そんなものに、もう用はない、もう見たくもない。
で、その辺にホカした。
そこに通りがかったのが正義の味方、老姉妹。
「何なの、これは」
「どうして、もとのところに戻さないのよ」
「よくこんなことができるわね」
「親がこうだと、子供も、こうなるのよ」
「全く、しょうがないわね」
とか何とかブツブツ言いながら、店員さんに成り代わり、そのホカされた服たちを、ハンガーにかけ、もとあった場所にもどしましたのよ。
その前も、どこかの店で、服を、たたんでいたような。
しかしね、こんな簡単なことが、なんで、できんのだー、やらんのだー。
食い散らかし、試着しちゃらかし、商品とっ散らかし、苦情言い散らかし、
こういう客は、店に成り代わって、ひと言、
「もう、くんなー」
出先で、手洗いのシンク周りが水でビシャビシャ。こんな時も、事情が許す限り、そのビシャビシャをササ―ッと拭く女、それが私です。
性分だわね。
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