「割引」……おばはんの顔ほころぶ。
でも、割引の前に、「60歳以上」とか「シニア」が付くと、
……複雑ですわね、嬉しさも割り引かれてしまいますわ。
60になったって、そんなものいらない、使わない。
「婆さん扱い」なんてされたくない。
映画だって、買い物だって、何だって正規の値段を支払うわよ。
割引には心惹かれるけど、「シニア割引」だけは、「別」。
マジでそんなこと思っていたんだわね、50代は。
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ところが60代も慣れてしまえば、
シニアでどこが悪い、いずれはみんな通る道なのよ。
せっかくだもの、親切にそう言ってくれているんだもの。
だったら、使わにゃ損、損、それこそ勿体ない。
この歳になったら見栄もへったくれもない。
利用できるものはなんでも利用するのよ。
現実は見栄を超えるのよ。
「あのぅ、シニアなんですけど……」
年齢を証明するもの?
そんなもの要るの?
疑っているわけ?
見ればわかるでしょうが、わたしゃ、60過ぎましたよ。
顔にも体にも書いてあるでしょうが、正真正銘シニアでございますよ。
証明できるものがないと駄目なの? 失礼しちゃうわ。
でも、
「年齢を確認するものですか? 要りません(見ればわかりますから)」
それもなんか……寂しいというか、何と申しましょうか……ですわね。
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