ゴミでふさがれた窓、雑草と雑多なゴミで覆いつくされた庭、その荒れ果てた家は以前からそうだった。もうとっくに人は住んでいないものと思っていた。夜、仕事の帰りにたまにその家の前を通っても、明かりがついていたことは、ないと思う。人が住めるような家じゃないのだ、ゴミに埋もれるのは時間の問題、大きな地震でもきたらあっという間に倒壊しそうな家だった。
もうね、オババの歳にもなるとね、新年はめでたいとい言うよりも、あーあ、またひとつ歳が増えちゃうんだな、イヤだな、が正直なところだわね。
60代の次は70代でしょ、イヤだよ、もうこれ以上歳とりたくないよ。若返りたいとか30代の肌になりたい、なんて無茶なこと言わないから、せめてあの世に行くまでこの齢のままじゃ駄目?
正月といっても、初詣にも行かず、誰とも会わず、おせちも食さず、正月も、ぼっちオババはそんなことを考える。で、いったい私は今年、いくつになるのでしょうか。
うーーーん、これだけ歳を重ねると、とっさにでないよ、忘れたよ。ましてや元号でなんか計算できない、西暦だって、えーと、えーと、足し算引き算、かなりあやしい、それが現実だ。
もう、この歳なれば正確な実年齢など、どうでも、よろし。気持ちの持ちようだ、そうだ、それが大事なのだ、気合いだ気合いだ、エイエイオー! カラ元気でも何でも、ないよりいいのだ。
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で、正月早々、ゴミ屋敷の話なんですがね、オババはてっきり空き家だと思っていたのだね、で、人が住んでいると聞いて、たまげたのなんのって。で、驚いたのはそれだけじゃなかったよ。
その家の住人の正確な年齢はわからないけれど、「50代くらいかな」と聞き、「えーーーっ、そんなに若いの」思わずオババそう言っちゃったわ。で、性別は?
50代か……若いな、50代か……若かったな……。そうなんです、ゴミ屋敷の住人は50代で、60代のオババにとっては若い女性であったわけです、ああ、びっくりした。
で、衝撃の事実はまだ続き、そのひとり暮らし50代には、彼氏がいて、その家に通ってきているらしい。えーーーっ、えーーーっ、ここまでくるとオババいささか興奮気味。
うーーーん、やはり、若いな、50代。しかしだね、ちょっと、その若さの使い道をだね、もう少しだね、なんとかならんのものかね。
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