「それはね、歳のせいよ」アンタに言われたくないわ

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「……それはね、歳のせいよ」

と、訳知り顔に言うアンタ。医者でもないのに。アンタの意見など訊いちゃいないのに。

それを大きなお世話というのよ。一緒にしないでほしいの、アンタと。

アンタと私は似た者同士でもないし、顔も体も違えば、歳も違うのね、アンタの方がずーと年上、それを、きちんと理解しといてほしいわけ、大事なことだから忘れないでね。

 私たちは一緒じゃないのよ。そんな当たり前のことがわからないのは「アンタの歳のせいなのよ」。

 「もう、歳だから」と自分で言うのは、いいの。

アンタもよく言ってるでしょ、「もう、婆さんだから」って。でもね、他人に「アンタは、もう、婆さんだから」って言われたら、アンタの婆さん心だって、少しは傷つくでしょ。

 

自分で言うのと、他人に言われるのでは、天と地ほども違うのよ。

 

だからね、悪気はなくても、他人に軽々しく「それは、歳のせいよ」なんて言っちゃだめなの。

 他人じゃないけど、私もね、かって言ったことがあるの、母に。

「爪の縦スジがすごいけど、どこか悪いのかしら?」って母が言うから、

「ああ、それはね、齢のせい、老化現象、歳とると誰でもそうなるの」って。

だって母は当時 80 代、孫にも「お婆ちゃん」と呼ばれる、見かけも立ち振る舞いも、まごうことなき「歳のせい」でしたよ。

 

でもね、この思いやりのかけらもない中年娘の言葉に、老母はちょっと傷ついたのか、腹を立てたのかわかりませんが、「まなこに、歳のせいだって言われた」と、私のいないところで、ことあるごとに、私のきょうだいに訴えていたらしいわ。

 

で、現在、私も加齢にもれず、自分の爪の縦スジを見るたび、「ああ、こんなになっちゃって」、「これも、歳のせいなのね」と今は亡き母に言った心無い言葉を思い出すのよ。あの時はごめんなさいね、あなたの産んだ娘は本当にデリカシーのないロクデナシで、との自戒をこめてね。 

 

 だからね、アンタから何でもかんでも、「歳のせい、歳のせい」って言われると、まだ 80 にもなっていない私は「イラッ」「キッ」「カチン」ときて、頭の中で「プチ」「パチパチ」「プチンパチン」と小爆発が起こるのよ。

 

それこそ加齢と相まって身体に悪影響を及ぼすじゃないの。何かあったらどうすんのよ、どうしてくれんのよ。私には母みたいに、「アンタに言われた」って泣きつく相手も、こぼす相手もいないのよ。

 

だから、アンタに言いたい、「歳のせい」のアンタがそれを言うな! 分かった? 今度、それを言ったら、もう絶交だからね。

 

……でも、アンタって、そういう大事なことはきれいさっぱり忘れるんだわね。

……それもこれも、全ては、アンタの歳のせい、かしらね。そう思うよりしょうがないのかしらね。 

 

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