身も蓋もないけれど、大きな声では言えないけれど、夫はいなくてもいい、お金があれば、と家庭内別居妻の同僚が言う。
ひとり者の私も……夫ね……そうね、もうね、今更ね、いらないわ。妻を怒鳴るオヤジみたいな夫なら尚更のこと、それより、やはりお金だわね、これが現実かしらね。
小雨交じりの肌寒い金曜の夜、人恋しい季節の到来だけれど、おばさん2人の会話はどうにもこうにも生々しく超現実的なのだった。
40代同僚は夫の話は全くしない。が、夫の話はするが夫とは話をしない50代同僚と、久しぶりだね、最近は仕事の関係であまり会うことがなくなってしまったけれど、昨夜は帰りが一緒になったので酒でなくお茶を飲む。
去年の夏の花金は2人で呑んだものだった。懐かしいね、1年でこんなに世の中が変わるなんて、私たちだって来年はどうなっているか分からないわよね。
そうよ、明日のことだって分からないわよ、だから残りの人生を悔いなく生きたいものだわね。そうね……悔いなくね、悔いなく、悔いなく……。
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夫と口を効かない、それは今も変わりなく粛々と? 続いているらしい。もちろん、必要な時は口を効く、だから平和的、平和のための家庭内別居だと言う。でも、このコロナ禍で以前にもまして家から出なくなった夫の存在が鬱陶しい。なので4連休は母親のところへ行った、しかし母親と長時間一緒、それも疲れる。
「あ~あ、1人になりたい、せめて休日だけでも」それが彼女の今の望み、夢だと言う。夫に、もし、何かあればできる限りのことはする、そう言っていた彼女だが、今はその気持ちも薄れに薄れ、ほぼゼロ、らしい。
勿論、自分に何かあっても、夫に看護、介護されることは望まないし、されたくない。
お金で幸せは買えないかもしれないけど、快適はお金で買えるのよ、そうなのよ。
なーんか、寂しい。けど、これも現実。
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