(歳はとったけど、見かけはこんなに変わっちゃったけど)
「気持ちは若い頃と、そう変わってないのよね……」
70代のアンタがしみじみそう言うのです、ちょっと寂しそうでもあります。
わかるわ、そうなのよね、見かけはそれだけ枯れちゃっても、中身はそこまで枯れちゃいないってことでしょ。
そんな年寄りのたわごとなんて誰も聞いちゃくれないけど、でもオババは聞くわよ、で、わかるわ、年寄りだからね。
こう見えたってアンタだってオババだって、心の中は、その隅っこの隅っこの隅っこにはまだまだ瑞々しい? 激しい? 熱き?……何かが……ありますか?
と言われましてもね、これといったものもないのですがね。でも、そうですね、年寄りなりのそれなりの、うーん……考えときます。
性分は変わりませんね、変えられません。それも嫌なところ、これは枯れませんねバリバリ健在です。せめてそれが加齢とともに肥大化、先鋭化、暴走せぬよう気を付けますわ。
まあるくなったか? 無理無理、死ぬまで無理でしょ、それは鈍さで補う繕う誤魔化す、言葉は悪いですが言い換えれば、大人の余裕の「フリ」をする。
で、ちょっとの「我慢」と「やせ我慢」これぞ年の功というものです。しかし、この我慢、言うは易し、これが結構、難しい。
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今から何十年も前の引越しの時、大学ノートに書き溜めた20代の頃の日記が何冊も出てきた。で、読んでみた。書いてあることが全て暗い、どこまでもどうにも暗い。
何考えてたんだか? だからといって暗くなるような出来事、悩みも見つからず、ひとり勝手に ♪ 若さゆえ苦しみ 若さゆえ悩み 心の痛みに 今宵もひとり泣く ♪
ああ、あれが若さだったのね、あれも若さだったのね。
ああ、それにしてもあの時の若い貴重な時間を、勿体ないことをした。しかし、老人に残された時間はもっと貴重ともいえる。
うだうだ落ち込んでいる暇はない、冥途への土産話をたくさん作らなくてはいけない。だからこうしちゃいられないのだ、と気ばかり先走る年寄りここにあり。
♪ 青春時代が夢なんて 後からしみじみ思うもの ♪
ほんとに、そうでありました。
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